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三浦 いちろう
Founder & Lead Photographer
雪の朝、嵐山は完全に静まり返っていました。前日の夜から降り続いた雪は、紅葉のすべての葉を落とした枝の上に静かに積もり、見慣れた景色をまったく違うものに変えていました。紅葉の季節に賑わっていた道も、足跡ひとつない真っ白な状態でした。
天龍寺の境内を歩くと、石灯籠の上に積もった雪が、朝の光を受けて淡く輝いていました。普段であれば参拝客の声が響く場所ですが、この日は雪を踏む自分の足音だけが聞こえていました。紅葉の賑わいとは対照的な、深い静寂がそこにありました。
枝だけになった紅葉の木々は、一見すると寂しい姿に見えるかもしれません。しかし、雪を纏ったその枝ぶりをよく見ると、夏や秋には気づかなかった木の骨格、枝の伸び方の美しさが際立って見えてきます。葉がすべて落ちたからこそ見える、木そのものの姿です。
凍った池のほとりでは、水面に薄い氷が張り、そこに映る枝の影が二重に重なって見えました。この冬の紅葉の姿は、夏や秋とは全く異なる美しさを持っています。季節の対比を、写真に残したかったのです。
撮影を終えて境内を出る頃、雲の切れ間から薄い日差しが差し込みました。雪がわずかに溶け始め、枝からしたたる水滴が光を受けて輝く。春はまだ遠いけれど、この瞬間にも季節は確かに動いているのだと感じた、静かな一日でした。

