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山田 たかし
Lead Archivist
強い雨が降った後の午後。朝から続いた雨が昼過ぎにようやく上がり、宝厳院の庭には洗われたような澄んだ空気が広がっていました。落ち葉が水に濡れ、赤と金のコントラストがより鮮やかになっていました。
雨上がりの紅葉は、乾いた状態とはまったく異なる表情を見せます。葉の表面に残った水滴がレンズのように光を集め、一枚の葉の中に小さな虹色の反射が生まれることがあります。この日もその瞬間を探して、何時間もしゃがみ込んでは立ち上がる撮影を繰り返しました。
池の表面に浮かぶ紅葉が、風に揺れる様子を何時間も撮影しました。雨上がりの空気が、森全体を清めてくれたような気がします。普段は賑わう庭園も、雨の直後は人が少なく、水面に反射する紅葉を独り占めできるような静かな時間が流れていました。
夕方近くになると、雲の切れ間から低い角度の光が差し込み、濡れた石畳と落ち葉が黄金色に輝き始めました。この「雨上がりのゴールデンアワー」は、年に数回しか出会えない貴重な瞬間です。アーカイブ担当として、こうした一瞬の光をできるだけ多くの記録として残すことも、私たちの大切な仕事のひとつです。
撮影を終えて機材を片付けていると、再び小さな雨粒が落ち始めました。この日撮影した写真は、後に「雨の後の光」というタイトルで、Maple Mirageの中でも特に人気のあるシリーズのひとつになりました。

